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2023.07.10ページが新しくなりました!

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【コラム】データサイエンティストの心得その9「レモネードを飲むと意志力が回復するって本当!?再現性と解釈」


本コラムは、データサイエンティスト・神山が「心得シリーズ」として
データ活用の面白さと難しさを語ります。
データサイエンティストのこぼれ話としてお楽しみいただければ幸いです。


スティーブ・ジョブズやバラク・オバマ元大統領は毎日同じ服を着て、
仕事をするスタイルであったことをご存じの方が多いのではないでしょうか。
意志力には限界があって日々の選択や判断、決断によって消耗することが
心理学の世界で言われています。
毎日同じ服を着ることは選択の機会を減らして、
意志力の消耗を防ぐというメリットがあるわけですね。

私は重要な仕事(このコラムを書くのもその1つです)を終えて帰宅すると、
「もう何も考えたくない、したくない」
とダラダラ過ごして、お菓子ばかり食べてしまうことが多いです。
自分の日常を考えても意志力には限界があるかのように振舞っています。
では、そんな貴重な意志力を手軽に回復させる方法はあるのでしょうか?

Gailliotら(2007)は砂糖を加えたレモネードを飲むと飲まない場合よりも、
困難な課題にも取り組めるようになることを実験データで明らかにしました。
この結果から「糖分たっぷりのドリンクを飲むと意志力が回復する」と
甘いもの好きにはたまらない主張をしています。
出典:M.T.Gailliot et al(2007). "Self-Control Relies on Glucose as a Limited Energy Source:Willpower Is More than a Metaphor".
Journal of Personality and Social Psychology 92(2),325-36.


しかし、同様の実験を行っても糖分が意志力を回復させると言えるような
データが得られず、再現性がないという問題が指摘されています。
科学の世界では、他の人が同じ条件下で実験を行った時に、
同様の結果が得られるかという再現性の問題
は常につきまといます。

Jobら(2013)は糖分を補給すると意思力が回復する再現性が得られない
問題に対して、砂糖そのものの効果ではなく、意思力への考え方によって
砂糖の効果が変化するのではないかと考えました。

その結果、意志力は消耗すると信じる人は課題に取り組み続けると
パフォーマンスが低下し、糖分たっぷりのドリンクを飲むことで、
パフォーマンスが回復するという結果が得られました。
一方、意思力は消耗しないと考える人はパフォーマンスが落ちず、
糖分補給の影響が見られないことが明らかになりました。

つまり、レモネードを飲んで意思力が回復するかというのは、
砂糖ではなく人間の思考が決めていた
のです。
出典:Veronika Job et al(2013). "Beliefs about willpower determine the impact of glucose on self-control".
 Proceedings of the National Academy of Sciences 110(37),14837-42.


レモネードと意思力の初期の実験では糖分が人間のパフォーマンスに
影響すると解釈されていましたが、厳密には違っていたということです。
このように科学の世界ではデータを得てそれらしい解釈しても、
後から違っていたと判明することはよくあることです。
観測された現象がなぜ発生したのかを正確に解釈するのは難しいのです。
ただ、私がそれ以上にお伝えしたいのは実験の追試や議論によって、
より科学が発展することです。
データの解釈に注意する必要はもちろんありますが、
あらゆる解釈をリスペクトしてデータ分析を重ねることで、
より真実に近づいていくと考えています。

ちなみに私はこの一連の研究を見て、疲れたから仕方ないと
アイスクリームとチョコレートを隙あらば食べる習慣を改めようと思いました。
果たしてこの意思力はいつまで続くのかとも思いますががんばります!

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※本記事は2022年03月16日現在の情報です。
  

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