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2023.07.10ページが新しくなりました!

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DXコラムは、DX/ITに関する情報をあらゆる切り口から詳しくご説明したオウンドメディア「DXpediaⓇ(DXコラム後継)」としてリニューアルいたしました。

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【コラム】人事のためのIT入門講座「最先端の人事クラウドサービスを使えばDXになるのか?」

本コラムでは、人事のご担当者さま向けに、ITリテラシー向上につながる情報をお届けしてまいります。人事業務の効率化や高度化だけでなく、デジタル人材の採用やデジタル教育の検討にご活用いただければ幸いです。

(1)人事クラウドサービスを使うだけではDXにならない

いきなりですが、タイトルの問い「最先端の人事クラウドサービスを使えば
DXになるのか?」の答えは「No」です。

前項では、人事業務を例として、DXの進め方についてお伝えしました。
しかし、何をどこまでやればDXが実現できたといえるのでしょうか。

とくに目安となる指標があるわけではありませんが、DXの定義に立ち返って
考えると、「デジタル技術やデータを活用し、競争上の優位性を確立」すること
ができたかどうかになるのではないでしょうか。

以降では、タイトルの問いについて、詳しく考えていきます。

(2)システム化されている給与計算・支払業務もDXの余地がある

DXが「単なるIT化・システム導入とは異なる」というのは、ご存じの方も
いらっしゃるかもしれません。

以降では給与計算・支払業務について考えていきます。
給与計算については多くの組織でシステムを採用しているかと存じますが、
ここにもDXへのヒントがあります。

たとえば最近は、「給与の前払い制度」を検討する会社が増えています。
人材採用をする上で、他社と比べて有利な条件となる可能性があります。
これをデジタル技術やデータを活用して、給与の前払いができるようになり、
他社と比べて有利に採用活動を進めて従業員を確保できれば、「DXが実現できた」
と考えてもよいのではないでしょうか。

ただし、次の2点に注意する必要があります。

・「優位性を確立すること」「人材を獲得できること」が重要
今回のケースでは、「給与の前払い制度」は人材採用施策の1つとして位置づけ
ています。他組織との採用競争を踏まえて、自組織の人材採用を優位に進めら
れるかどうかが、施策や、システムを評価する際の基準になります。

・「競争上の優位」がどれだけ続くかを考えることが重要
本日時点では給与の前払い制度を採用する企業が少ないため、(給与の前払いが
人材採用に貢献しているという仮定の下では)他組織との競争上の優位があると
考えられます。
しかし時間が経つにつれて給与の前払い制度を導入する組織が増えて当たり前に
なると、競争上の優位はなくなることになります。

「DXの実現」自体も手段ですので、「DXが実現できたかどうか」を厳密に考える
必要はありませんが、上記2点については、ビジネスにおいては必ず考える必要があります。

(3)「競争上の優位」のためには自社の独自システムが不可欠

世の中の給与計算システムにはいくつもの製品がありますが、「前払い制度」に
対応しているものはどれほどあるでしょうか。

仮にいくつもの製品で「前払い制度対応機能」が備わっているのであれば、
それを使うのも一つの手です。
そうすれば、容易に「前払い制度」を運用することができます。
※もちろん、機能自体が自組織の前払い制度に合致していることと、投資対効果
が見合うことが前提になります。

ただし気をつけたいのは、「他社でも容易に前払い制度対応機能を使える」と
いうことです。つまり、前払い制度自体が他社でも容易に導入でき、採用競争に
おける優位性が確立できないということになります。

そのため、採用競争における優位性を確立するためには、システムベンダーが
考えていない、斬新な給与制度、ひいては人材採用施策を考案する必要があります。

(4)「ここぞ」という事業・業務人こそ自社独自のシステムへの投資が必要

システムベンダーが考えていない機能が必要ということは、自社独自のシステム
を作ることになります。
自社独自のシステムを作るということは、次の3点を意味します。

・自組織だけの都合で、機能や開発スケジュールが決められる
・システムの構築だけでなく運用開始後も、相応の投資が必要になる
・品質や投資対効果を握るのは、発注者側(=業務を知る人)である

とくに投資に関しては、構築時においては通常の給与計算処理を含める必要が
あります。月末などで勤務時間を締めて、基本給+時間外手当+各種手当てを
合算する処理を開発することになります。

そのうえで、自組織特有の処理である、前払いの処理を追加していきます。
具体的には、「実際に働いた日数に応じた給与だけが前払いできるようにする」
「希望する前払金額は従業員が指定できるようにする」「本来の給与支給時には、
前払い分を差し引く」などといった処理を、自社の前払い制度に基づいて開発
していくことになります。

さらに運用時においては、法改正などで通常の給与計算処理内容が変わって
しまった場合、法律に適合するようにシステムを改修する必要があります。

想像するだけでもかなりのコストが見込まれるのはご納得いただけるかと存じます。
そのため、開発・運用のコストと、システム化により低減できるコストや
得られる効果を見極めて、開発するかどうかを考える必要があります。

(5)全社でDXを理解してIT投資の増加やシステム化コストの低減が望まれる

「なんだ、高くて結局、自組織独自のシステムなんか作れないんじゃないか」
という話もあるかもしれませんが、日本では、IT投資額がそもそも低いという
考え方をすることもできます。
令和元年版の情報通信白書によると、2016年の日本のICT投資額は、米国の
3分の1程度でした。

また開発コストを低減するためには、次のような取り組みも有効です。

・目的に対して高効果が見込める施策を企画する
・施策実現のためのシステムを開発する際は、上流工程を極力組織内で実施する
・業務フローの中でシステム化対象とする箇所を絞る
・極力技術的に難しい要求はしない(高性能、24時間365日稼働、完璧なセキュリティなど)

端的に言えば、DXを実現するためには、経営層を巻き込んで全社でDXを理解し、
相応の投資もした上で、事業部門が主体になった上でシステム開発を進める必要があります。

いかがでしたでしょうか。
自組織のDXを進めるためには、自組織の多くの人材がこういった考え方を持って
おく必要があります。今後の人材育成計画のご参考にしていただけますと幸いです。

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※本記事は2020年12月02日現在の情報です。
  

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