2026.06.23
2026.06.23
デジタルスキル標準(DSS)とは?| DX・AX時代に求められる人材育成の指針を解説
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
生成AIの普及やAI技術の進化により、多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)やAX(AIトランスフォーメーション)への取り組みが加速しています。
しかし、ツールを導入するだけでは変革は実現できません。企業が継続的に競争力を高めるためには、デジタル技術を理解し活用できる人材の育成が不可欠です。
その指針として経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が策定したのが「デジタルスキル標準(DSS)」です。
本記事では、デジタルスキル標準の概要や構成、Ver.2.0での改訂ポイントについて解説します。
デジタルスキル標準(DSS)とは
デジタルスキル標準(DSS:Digital Skill Standard)は、企業のDX・AX推進に必要な人材育成やスキル習得の指針として策定された標準です。
個人にとっては学習やキャリア形成の目安となり、企業にとっては人材育成や採用、スキル可視化の基準として活用できます。
デジタルスキル標準は、以下の2つで構成されています。
- ■ デジタルスキル標準
- └ DXリテラシー標準(全てのビジネスパーソンが身につけるべきスキルを定義)
- └ DX推進スキル標準(DX推進人材が担う役割や、習得すべきスキルを定義)
-
出典:独立行政法人 情報処理推進機構 デジタルスキル標準 ver.2.0 p.7 デジタルスキル標準の対象 参照https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/img/digitalskillstandardver.2.0.pdf
DXリテラシー標準(DSS-L)とは
DXリテラシー標準は、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき知識やスキル、マインドを定義したものです。
対象はIT部門だけではありません。営業職や事務職、管理職を含む全社員が、データやデジタル技術を活用しながら業務改善や価値創出を行うための基礎力を身につけることを目的としています。
主な内容は以下の通りです。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構 DXリテラシー標準(DSS-L)概要 図1 「DXリテラシー標準」の全体像https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/about_dss-l.html
DX推進スキル標準(DSS-P)とは
DX推進スキル標準は、DXを主導する専門人材に求められる役割やスキルを整理したものです。企業がDXを推進する際には、多様な専門人材が連携しながらプロジェクトを進める必要があります。
Ver.2.0では、DX推進人材を以下の6類型に整理しています。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構 DXリテラシー標準(DSS-P)概要 図2 「DX推進スキル標準」類型の定義https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/about_dss-p.html
- ビジネスアーキテクト
- DXの取組みにおいて、ビジネスや業務の変革で実現したい目的を定義したうえで、経営視点で最適なビジネスモデルとビジネスプロセスを設計し、戦略を行動に落とし込み、成長サイクルを生み出しながら、関係者をコーディネートし変革の工程全体をけん引して成果を創出する人材
- デザイナー
- ビジネスの視点、顧客・ユーザー視点、コミュニケーション視点等を総合的にとらえ、製品・サービスの方針や開発のプロセスを策定するとともに、ブランドメッセージやタッチポイントを含むコミュニケーション設計を担い、それらに沿った製品・サービスのありかたのデザインを担う人材
- データサイエンティスト
- DXの推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データ解析やAIシステムに関する仕組みの設計・実装・運用を担う
- ソフトウェアエンジニア
- DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う
- サイバーセキュリティ
- 業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う人材
- データマネジメント
- データの安全性・信頼性の確保と継続的な流通の仕組みの設計・実装・運用を行い、組織全体の人材を巻き込んだデータの利活用、データによる価値創出を促進する人材
Ver.2.0で注目される「データマネジメント類型」
今回の改訂で最も大きな変更点の一つが、「データマネジメント類型」の新設です。
生成AIの普及をはじめ、データ活用の重要性がますます高まる中、データの品質や信頼性を確保し、適切に管理・運用する役割がより重要になっています。AIの性能は学習データの品質に大きく左右されるため、データ基盤の整備やガバナンスを担う専門人材の必要性が高まっていることが背景にあります。
データマネジメント類型では、次の3つのロールが定義されています。
- データスチュワード
- データエンジニア
- データアーキテクト
また、この改訂に伴い、従来はデータサイエンティスト類型に含まれていたデータエンジニアは、データマネジメント類型へ移行・整理されました。これにより、データを分析・活用する役割と、データを整備・管理する役割が明確に区分されています。
データを「活用する人材」と「支える人材」の役割がより明確になり、企業は自社に必要な人材像を整理しやすくなりました。
デジタルスキル標準を活用するメリット
デジタルスキル標準を活用することで、企業は以下のような効果を期待できます。
- DX推進人材の要件を明確化できる
- 社員のスキルレベルを可視化できる
- 教育計画を体系的に設計できる
- 採用基準や評価基準を整備できる
- DX・AX推進に必要な人材を計画的に育成できる
出典:独立行政法人 情報処理推進機構 デジタルスキル標準 ver.2.0 p.9 デジタルスキル標準の対象 参照https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/img/digitalskillstandardver.2.0.pdf
まとめ
デジタルスキル標準は、DX・AX時代に必要な人材育成の共通指針です。
Ver.2.0では、AI活用の拡大を背景にデータマネジメント類型が新設されるなど、人材像やスキル定義が大きくアップデートされました。
これからの企業には、デジタル技術を活用できる人材だけでなく、データやAIを適切に管理し、ビジネス変革を推進できる人材の育成が求められています。
自社の人材育成やDX推進を進めるうえで、デジタルスキル標準を活用した体系的な育成計画の構築を検討してみてはいかがでしょうか。
※デジタルスキル標準改訂履歴は独立行政法人 情報処理推進機構 デジタルスキル標準 ver.2.0 p.146-147に記載
※本記事は2026年06月23日現在の情報です。
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