2024.06.11
2024.12.05
プロマネの「極意」を身につける~ベテランPMが語る心構え4選
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
ある日突然、プロジェクトマネージャー(以下PM)に指名されたらどうしますか?
何から手をつければいいか、どうやって進めれば良いか、戸惑ってしまうのではないでしょうか。
本記事では、システムエンジニア歴40年・ベテランPMの筆者が「PMとして身につけておきたい心構え」を4つご紹介します。
急がば回れ
システム開発では、システムで何をどこまで行うかを決める「要件定義」が重要な工程と言われています。 それはもちろん正しいのですが、プロジェクトとして一番重要だと感じるのは、何といっても要件定義前の「予備検討(システム化構想)」です。
予備検討(システム化構想)とは、以下の5項目を詰めることです。
- 経営上の課題
- 現行業務の調査分析
- 現行システムの調査分析
- システム化の対象となる業務の明確化
- スケジュール感とコスト感
簡単に言うと「現状どんな問題があって、いつまでに改善するのか。そして経営上、それらは許容される内容なのか?」を検討することです。 上記5項目をしっかり検討せずに見切り発車してしまうと、途中で問題にぶつかってプロジェクトが頓挫、または手戻りする事態になってしまいます。
まずはシステム化に向けた構想をまとめて、システム部門だけでなく、経営者やユーザー部門も含めて検討会を実施すること。たとえ時間がかかっても、予備検討の段階で入念に議論して結論を出しておくことが、結局は成功への早道(急がば回れ!)となるのです。
船頭は5人まで
近年、システムが巨大化・複雑化するにつれて、プロジェクトの参加者は増える傾向にあります。しかし、その人数は本当に必要でしょうか?
人数が増える原因のひとつは、システムエンジニア(SE)1人あたりの業務範囲(業務+システム)が狭くなっていることが考えられます。つまり、システム全体のことが分からないSEが増えている。そのため、人数をやたらに投入せざるを得ないということです。
政治学では「パーキンソンの法則」というものがあります。役人(官僚)の数は、仕事量とは無関係に増え続けることから導き出された法則です。例えば委員会を作るなら定員は5名までが適正で、これ以上増やすと必ず話を聞いていない人が現れる、ということを示唆しています。
システムプロジェクトも同じです。1,000人月(人数と月数をかけたもの。100人が10か月かければ1,000人月となります)を超えるようなプロジェクトでも、PMO(Project Management Office)は5名以内で運営するのがポイントです。
司令塔は少数精鋭、5名まで。船頭が多い船は、必ず真っすぐ進まなくなるものです。
目的も、目標も1つ
「目的」とは、達成を目指すもの。「目標」とは、目的達成に必要な指標。
プロジェクトにおいては、どちらも1つであるべきです。
例えば、「安全なシステム統合の実施」という目的があるとします。大規模なシステムを事故なく、安全に統合することは至難の技ですので、この目的はハードルが高いです。 そもそもプロジェクトにおける「目的」とは達成が困難な内容が多いため、だからこそ唯一無二のものにすべきです。
しかし実際は、目的をいくつも設定したり、それらを達成するための「目標」も複数設定してしまうことがよくあります。例えば次のように、目標を3つ立てるとどうなるでしょうか。
- 20○○年○月に本番稼働を開始
- 実施予算は3,000億円以内
- 新システム更改を同時に実施
目標を欲張って立ててしまうと、焦点がぶれてプロジェクトメンバーの意識が分散し、1つも合格点を取れない事態に陥ります。目標も1つに絞り、そこに注力すべきなのです。
プロジェクト状況により目標が複数になる場合でも、最重要目標を1つ決めること。
「わかりやすさ」は、プロジェクト運営の肝と言えます。
PMは教育者であれ
プロジェクトマネージャー(PM)はシステム開発部隊を率いる最前線の長として、現場メンバーをしっかり把握する必要があります。 1人1人の性格や仕事上のクセ、長所・短所などを理解した上で、プロジェクトを最適な形で推進するためです。
メンバーに対する好き嫌いが入ってしまっては、大きな仕事はできません。
各メンバーの持つ能力・パワーをうまく引き出すことがPMの務めです。
そういう意味で、PMには「教える」だけでなく「育む」スキルが求められます。「育む」とは元々「親鳥が雛を羽根で覆いかぶせて守る」という意味です。豊かな愛情をベースに持った「教育者」であること。PMとして備えるべき、大事なスキルのひとつです。
最後に
PMに任命されたときの「心構え4選」はいかがでしたか?
近年はシステム開発の現場で、受託側のベンダーだけではなく、委託側の部門(業務・システム)においても高度なPM人材が求められるようになっています。あなたも今後、PMに任命される可能性があるかもしれません。その際はぜひ、今回ご紹介した内容を胸にプロジェクトを推進いただければと思います。
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※本記事は2024年12月05日現在の情報です。
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