2023.06.27
2024.12.10
DX推進の指針「デジタルスキル標準」
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
デジタルスキル標準とは?
組織がDXを進めるためには、どのようなスキルを持つ人材が必要でしょうか?
ビジネスパーソンはどのような知識とスキルを求められるのでしょうか?
その答えとして、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が共同で発表したのが「デジタルスキル標準」です。組織のDX推進に必要な人材の要件を整理したもので、組織にとってはDX人材育成・採用の指針となり、個人にとっては学習の指針ともいえる内容です。
「デジタルスキル標準」は以下のとおり、「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」の2種類で構成されています。前者は全てのビジネスパーソンが対象であるのに対し、後者はDXを推進する人材を対象としています。
- ■ デジタルスキル標準
- └ DXリテラシー標準(全てのビジネスパーソンが身につけるべきスキルを定義)
- └ DX推進スキル標準(DX推進人材が担う役割や、習得すべきスキルを定義)
- 出典:独立行政法人情報処理推進機構「デジタルスキル標準 ver.1.2」p.8
「デジタルスキル標準」が策定された背景には、日本の多くの組織でDXの取組みが遅れていること、その要因としてDX人材の不足が挙げられます。DX推進にはデジタルスキルの素養や専門性をもった人材が欠かせないことから、DX人材の育成や学習の指針となる「デジタルスキル標準 ver.1.0」が2022年12月に公開されたのです。
生成AIの急速な普及などに伴い、内容は改訂され続けています
2023年8月に公開の「デジタルスキル標準 ver.1.1」では、「DXリテラシー標準」が改訂され、生成AIの利用に必要となるマインド・スタンスや利用方法、リスクなどについて文言が追記されました。
続く2024年7月に公開の「デジタルスキル標準 ver.1.2」では、「DX推進スキル標準」が改訂され、生成AI関連の補記や共通スキルリスト内の学習項目例が追加・変更されています。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「プレス発表 DXを推進する人材向けの『DX推進スキル標準』に生成AIに関する補記などを追加」
DXリテラシー標準 ~全員が身につけるべきスキル
「DXリテラシー標準」のねらいは「ビジネスパーソンひとりひとりがDXに関するリテラシーを身につけることで、DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになる」ことです。
内容には全てのビジネスパーソンが身につけるべきマインド・スタンスや知識・スキルが定義されており、学習のゴールは以下のとおり設定されています。
- 社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要なマインド・スタンスを知り、自身の行動を振り返ることができる
- 人々が重視する価値や社会・経済の環境がどのように変化しているか知っており、DXの重要性を理解している
- DX推進の手段としてのデータやデジタル技術に関する最新の情報を知ったうえで、その発展の背景への知識を深めることができる
- データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの活用方法を身につけたうえで、留意点などを踏まえて実際に業務で活用できる
出典:独立行政法人情報処理推進機構「デジタルスキル標準 ver.1.2」p.11~
学ぶべき項目例として、社会・産業の変化に関するキーワード(Society5.0、データ駆動型社会等)、データの分析手法(基礎的な確率・統計の知識)、AIやクラウド、ネットワークの仕組み、個人がとるべきセキュリティ対策、ツールの活用方法、ノーコード・ローコードツールの基礎知識などが挙げられています。
DX推進スキル標準 ~5つの人材類型と習得すべきスキル
「DX推進スキル標準」のねらいは「DXを推進する人材の役割や習得すべき知識・スキルを示し、それらを育成の仕組みに結び付けることで、リスキリングの促進、実践的な学びの場の創出、能力・スキルの見える化を実現する」ことです。
DXを推進する人材として、以下のとおり5つの職域を挙げて、それぞれの役割と必要なスキルを定義しています。
- ビジネスアーキテクト
- DXの取組み(新規事業開発/既存事業の高度化/社内業務の高度化・効率化)において、ビジネスや業務の変革を通じて実現したいこと(=目的)を設定したうえで、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する人材
- デザイナー
- ビジネスの視点、顧客・ユーザーの視点等を総合的にとらえ、製品・サービスの方針や開発のプロセスを策定し、それらに 沿った製品・サービスのありかたのデザインを担う人材
- データサイエンティスト
- DXの推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データを収集・解析する仕組みの 設計・実装・運用を担う人材
- ソフトウェアエンジニア
- DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材
- サイバーセキュリティ
- 業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う人材
上記の人材類型はさらに詳細に区分され、DX推進において活躍する場面や役割の違いを想定した「ロール」が設定されています。
さらに、それぞれの人材類型とロールごとに必要とされるスキルは、IPA資料「デジタルスキル標準 ver.1.2(共通スキルリストExcel版)」にてマッピングされています。以下Webページの「2024年7月の改訂」より閲覧することができますので、興味のある方はご確認ください。
DX人材の育成を、何から始めるか?
ご紹介したとおり、デジタルスキル標準は「組織がDXを推進するために、どのような知識・スキルを持った人材が必要か」を整理しています。
こちらの情報をもとに組織が戦略的にDX人材を育成するためには、まず現状の従業員ひとりひとりの知識やスキルを客観的に可視化し、それに基づいて適切な育成計画を立てることが重要です。
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※本記事は2024年12月10日現在の情報です。
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