2024.02.20
2024.12.20
画像生成AIは実務で使えるのか~デザイナーがAIの実力を検証!
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
※恐れ入りますが、ツールの登録手順・使用方法に関する当社へのお問合せはご遠慮ください。
ご不明点は開発元の公式サイト・サポートまでご確認をお願いいたします
画像生成AIとは
画像生成AIとは、利用者の入力内容を元にAIが画像を作成するサービスの総称です。
主に利用者がイメージする完成形を言語化して入力を行いますが、中には参考画像を提供することで似せたものを生成できるサービスもあります。
右のイラストは筆者(デザイナー)が思う「画像生成AI」に対するイメージを元に、「草原でイーゼルに向かい絵を描くロボット」というテキスト(プロンプト)から、Adobeの画像生成AI「Adobe Firefly」で生成しました。
このように画像生成AIを活用すれば、専門技術がなくとも精度の高い画像を作成することが可能です。
しかし、一見するとテキストから作成したとは思えない完成度ですが、このイラストになんとなく違和感を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
生成系AIは実務で使えるのか
生成したイラストを細かく見ていきましょう。
手前のイーゼル(絵を描くときにカンバスを固定する台)に注目してください。
このイラストではカンバスが構造的に不安定で、ロボットとの位置も不自然になっています。
他の動物と比べて視覚情報に頼って生活している人間の目は、正しい構造を思い出せずともちょっとした違和感を見抜くことに長けているのです。
また、その違和感のアンテナは見慣れているものほど強く働きます。
特に人間は表情を読み取ることで相手とのコミュニケーションを図る傾向があり、目・鼻・口の変化やバランスには敏感です。
その点、イラスト調で人物を生成した場合にはそもそもの比較対象が少なく、見た人の「こうあるはずである」という思い込みがありません。
そのため、多少曖昧な表現になったとしても大きな違和感を感じることなく受け入れると考えられます。
筆者の所感ではありますが、現在のところ画像生成AIを実務で使う場合は写実的なものより、イラスト調の方が使いやすそうです。
■同じプロンプト「社内研修を受け、新しい技術を習得している会社員」から生成した例
もし筆者が業務で使うなら、上の二つの例のうち右のイラストを採用します。
左の男性は表情がどことなく不自然で、視線も定まっていないようにみえます。
これをプロンプトによって修正していくとなると手間も時間もかかります。
効率も考慮しなければ実務には使えないからです。
画像生成AIに潜む著作権侵害のリスク
適切なプロンプトを与えることで、誰でも手軽に画像生成が可能な生成系AIですが、AIが作った画像は誰のものか、つまり著作権の問題があります。
著作権法を管理する文化庁では、これまで生成系AIに関する様々な議論が行われてきました。
2023年6月には「AIと著作権」と題したセミナーが開催され、著作権法の考え方やAIと著作権の関係性について公表しています。
同セミナー内では、生成系AIと著作権の関係性は「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けて考える必要があると述べています。
文化庁「AIと著作権」
AI開発・学習段階
- 著作物を収集、複製し学習用データセットを作成
- 学習用データセットを利用し、学習済みモデル(AI)を開発
「AI開発・学習段階」は著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用と考えられ、著作権者の経済的利益を通常害するものではないとし、著作権者の許諾を不要としています。
つまり、このケースではAIに学習をさせるために事前許可を取る必要はありません。
生成・利用段階
- AIを利用し画像などを生成
- 生成物をアップロードし公表、複製し販売(イラスト集など)
一方で開発したAIモデルを使った「生成・利用段階」になると、通常の著作権侵害と同様の法が適当されます。
AIの生成物に既存の著作物との類似性と依拠性(既存の著作物を基に創作したこと)の両方が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求や差止請求が可能であり、刑事罰の対象にもなるとしています。
個人で楽しむ範囲では問題ありませんが、利用方法によっては著作権を侵害する恐れがあるので注意が必要です。
最後に
ここまで画像生成AIを実務で活用するためのポイントをご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
新しいテクノロジーを活用する際は、技術を学ぶことと同様にチェック体制の強化、コンプライアンスの徹底も重要になります。
正しい知識とテクニックを身につけ、生成系AIを使った業務効率化を目指しましょう。
※本記事は2024年12月20日現在の情報です。
おすすめ公開講座
関連ページ
研修会社インソースのAI(人工知能)研修一覧です。当社では、AI入門から現場活用、開発まで、職種や階層ごとにオススメプログラムを分類してご用意しています。基礎知識の習得、現場で活用するために必要な「コスト・成果・精度」の考え方、Microsoft AzureのMachine LearningやPython言語といったツールを使ったモデル構築のための演習まで、豊富なラインナップがございます。
似たテーマの記事
2024 WINTER
DXpedia® 冊子版 Vol.3
Vol.3は「普及期に入ったAI」がテーマです。AI活用を見据え管理職2,200人を対象とする大規模なDX研修をスタートさせた三菱UFJ銀行へのインタビューや、AIの歴史と現在地に光を当てる記事、さらに因果推論や宇宙ビジネスといった当社の新しい研修ジャンルもご紹介しています。
Index
-
冊子限定
【巻頭対談】管理職2,200人のDX研修で金融人材をアップデートする
-
冊子限定
ChatGPTが占う2025年大予測
-
冊子限定
AI研究がノーベル賞ダブル受賞
-
冊子限定
チョコとノーベル賞の謎
-
冊子限定
宇宙ビジネスの将来
-
冊子限定
【コラム】白山から宇宙へ~衛星の電波を自宅でとらえた
2024 AUTUMN
DXpedia® 冊子版 Vol.2
『DXpedia®』 Vol.2は「サイバーセキュリティの今」を特集しています。我が国トップ水準のリスク関連コンサルティング会社であるMS&ADインターリスク総研の取締役に組織の心構えをうかがいました。このほかサイバー攻撃やセキュリティの歴史を当社エグゼクティブアドバイザーがひもといています。
Index
-
PICKUP
【巻頭対談】サイバー攻撃への備え 従業員教育が欠かせない
-
冊子限定
「復旧まで1カ月以上」が2割〜国内のランサムウェア被害調査
-
PICKUP
サイバーセキュリティ今昔物語
-
冊子限定
DXpediaⓇ人気記事
-
冊子限定
【コラム】白山から宇宙へ~アポロが生んだ技術の大変革
2024 SUMMER
DXpedia® 冊子版 Vol.1
IDAの新しい冊子『DXpedia®』が誕生しました。創刊号の特集は「ChatGPT時代」。生成系AIを人間の優秀な部下として活用するための指示文(プロンプト)の例を始め、Web版のDXpediaで人気を集めた記事を紹介、さらに宇宙に関するコラムなどを掲載しています。
Index
-
冊子限定
プロンプトでAIをあやつる~前提や体裁を正しく指示して完成度UP!
-
冊子限定
AIそれはデキる部下~インソースグループの生成系AI研修
-
冊子限定
AIと作る表紙デザイン~生成系AIを有能なアシスタントにしよう
-
冊子限定
【コラム】白山から宇宙へ~未来を切り拓くSX(
-
冊子限定
DXpediaⓇ人気記事
2023 AUTUMN
Vol.12 今日からはじめるDX
Vol.12は「中堅・成長企業でのDXの進め方」がテーマです。他社リソースを上手に活用するために身につけたい「要求定義と要件定義」を解説しました。 2人の「プロの目」によるDXの取組みへのヒントに加え、身近なアプリではじめるDXを活用事例とともに紹介します。DXお悩みQ&Aでは、中小・成長企業特有の事例を取り上げました。DXをはじめるなら「今」です。
Index
2023 SPRING
Vol.11 DX革命 第二章~着手から実践へ
vol.4の続刊であるVol.11は「DX革命の実践」がテーマです。 本誌の前半ではDXの課題を4段階に整理し、各段階の解決策である研修プランを掲載しています。 後半では弊社が研修を通じてDXを支援した、各企業様の事例と成果を紹介しています。自社のDX実践に際して、何がしかの気づきを得られる内容となっています。
Index
2020 WINTER
Vol.04 DX革命
Vol.04はDX推進のための効果的な手法がテーマです。DXは喫緊の経営課題である一方、IT人材不足や高いシステム導入コストにより実現が難しいと捉えられがちです。そこで本誌では、今いる人材で低コストに推進するDXについてご紹介しております。
Index
お問合せ
まずはお電話かメールにてお気軽にご相談ください
お電話でのお問合せ
03-5577-3203