2023.09.25
2024.12.05
リスキリングに失敗する組織3つの特徴と対策
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
組織の人材戦略として「リスキリング」が注目されています。
この言葉が生まれた背景には驚異的なテクノロジーの発展があります。
従来、人間が行っていた業務がAIなどのテクノロジーに代替され、
将来的に「技術的な失業」が起こる...。
そんな未来に備えて、新しいスキルを獲得することがリスキリングの概略です。
そんなリスキリングですが、
「あくまで組織(企業、官公庁など)に実施責任があること」、
そして、「人事が正しく主導しない組織は失敗すること」をご存じでしょうか?
外部環境の変化に合わせて組織を変革するには、内部人材の変革が必要です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)はその最たる例といえます。
しかし、今後はそのDXを実現するデジタル人材不足が加速することが予測されています。
参照:経済産業省の委託調査「-IT人材需給に関する調査- 調査報告書」
17ページによるとIT人材は2030年には最大で約79万人の不足
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
リスキリングとは新しい職業や業務を行うためにスキルを習得することです。
組織が変化の激しい現代社会で生き残るためには、
新しいニーズや業務に適応できる内部人材を育成する必要があります。
そのため、リスキリングの実施責任はあくまで組織にあると言えるのです。
リスキリングに取り組む組織が増えた一方で、失敗事例も出始めています。
失敗する組織にはどのような特徴があるのでしょうか?
3つの特徴をご紹介いたします。
(1)リスキリングを誤解している
~通常業務の+αと位置づけて、従業員を疲弊させる
組織の上層部がリスキリングの背景や位置づけを理解せず、
単なる「学び直し」ととらえてしまうと、従業員にしわ寄せがいきます。
"通常業務に+αで学びを強制される"と受け取られてしまえば、
結果的に従業員の疲弊やモチベーション低下を招きます。
組織の変革に必要となる能力開発を行うのですから、単なる「学び直し」とらえるのではなく、
リスキリングは就業時間内に行う「業務」であるべきです。
業務改善といったDX推進に繋げるためにも必要な業務だと位置づけて、
従業員が無理なく取り組める環境を作ることが必要です。
(2)目的意識が欠如している
~目的がなく、従業員が学びを忘れる
「リスキリングというキーワードが注目されているので、
とりあえず業務に役立ちそうなことを学ばせよう」と考えて、
学習教材オンラインサービスを契約、その後は各従業員の自主性に任せる...
このようなやり方では、効果的なスキル定着や業務活用は見込めません。
新規事業に向けたスキルの習得がリスキリングの目的の一つです。
そのため、リスキリング施策は組織戦略や事業戦略と密に結び付くべきです。
見切り発車でリスキリングを行うと、何のために学ぶのか理解ができず、
せっかくの学びも効果が薄いものになってしまいかねません。
(3)評価制度やスキル活用機会がない
~リスキリングを通じて、従業員が離れていく
組織の上層部が明確な目的ありきで施策を行っても、
リスキリングに取り組んだ従業員に対する評価制度や
キャリアパスの提示がなければ、人材流出を引き起こす可能性があります。
諸外国ではスキル習得が組織内の昇格や昇進などに直接紐づけられており、
「リスキリング=キャリアアップの手段」と認識されています。
だからこそ、リスキリングが活発化していると言って良いでしょう。
組織内でリスキリングに対する報酬やスキル活用機会がなければ、
従業員は組織外にそれらを求めて転職します。
しかも自発的にリスキリングに取り組む意欲の高い従業員ほど、
社外流出する事態に陥ってしまうのです。
人事に求められる対策3点
以上3つが、リスキリングに失敗する組織の特徴です。これらの特徴を踏まえて、対策することで効果的にリスキリングを行えます。
リスキリング成功のために人材戦略を担う人事に求められる対策は3点です。
対策(1):リスキリングを正しく理解し、就業時間内に行う「業務」とする
対策(2):組織戦略や事業戦略に基づき、目的が明確なリスキリングを行う
対策(3):リスキリングで得たスキルに対し、評価制度や活用機会を設ける
人事担当者がこれらの対策を展開し、組織全体がリスキリングを真剣に取り組む姿勢を持てば、
組織はリスキリングを成功に近づきます。
いかがでしたか?
組織変革やDX推進のため、今後ますます重要になるリスキリング。
無駄のない投資を行って、自組織のデジタル人材を確保していきたいですね。
※本記事は2024年12月05日現在の情報です。
おすすめ公開講座
関連ページ
全社員のDX人材化や生産現場へのDX導入など、積極的にDX化を進める企業がある一方で、「DXとはなにか」「DXをどう生かしたらいいかわからない」という声が少なくありません。本ページでは、様々な業種のトップ企業様からご相談をお受けし、DX人材育成のお手伝いをしているインソースデジタルアカデミーが「DX」について詳しく解説いたします。
似たテーマの記事
2024 AUTUMN
DXpedia® 冊子版 Vol.2
Vol.1の「ChatGPT時代」に引き続き、「サイバーセキュリティの今」をテーマにMS&ADインターリスク総研株式会社との対談など、近年注目が集まるセキュリティ問題についてご紹介しております。
Index
-
PICKUP
【巻頭対談】サイバー攻撃への備え 従業員教育が欠かせない
-
冊子限定
「復旧まで1カ月以上」が2割〜国内のランサムウェア被害調査
-
PICKUP
サイバーセキュリティ今昔物語
-
冊子限定
DXpediaⓇ人気記事
-
冊子限定
【コラム】白山から宇宙へ~アポロが生んだ技術の大変革
2024 SUMMER
DXpedia® 冊子版 Vol.1
「ChatGPT時代」をテーマにDXpedia®で人気の記事を冊子にまとめました。プロンプト例を交えた解説や、様々な場面での活用法をご紹介しています。生成系AIの特性を正しく理解し、ひとりの優秀な部下にしましょう。
Index
-
冊子限定
プロンプトでAIをあやつる~前提や体裁を正しく指示して完成度UP!
-
冊子限定
AIそれはデキる部下~インソースグループの生成系AI研修
-
冊子限定
AIと作る表紙デザイン~生成系AIを有能なアシスタントにしよう
-
冊子限定
【コラム】白山から宇宙へ~未来を切り拓くSX(
-
冊子限定
DXpediaⓇ人気記事
2023 AUTUMN
Vol.12 今日からはじめるDX
Vol.12は「中堅・成長企業でのDXの進め方」がテーマです。他社リソースを上手に活用するために身につけたい「要求定義と要件定義」を解説しました。 2人の「プロの目」によるDXの取組みへのヒントに加え、身近なアプリではじめるDXを活用事例とともに紹介します。DXお悩みQ&Aでは、中小・成長企業特有の事例を取り上げました。DXをはじめるなら「今」です。
Index
2023 SPRING
Vol.11 DX革命 第二章~着手から実践へ
vol.4の続刊であるVol.11は「DX革命の実践」がテーマです。 本誌の前半ではDXの課題を4段階に整理し、各段階の解決策である研修プランを掲載しています。 後半では弊社が研修を通じてDXを支援した、各企業様の事例と成果を紹介しています。自社のDX実践に際して、何がしかの気づきを得られる内容となっています。
Index
2020 WINTER
Vol.04 DX革命
Vol.04はDX推進のための効果的な手法がテーマです。DXは喫緊の経営課題である一方、IT人材不足や高いシステム導入コストにより実現が難しいと捉えられがちです。そこで本誌では、今いる人材で低コストに推進するDXについてご紹介しております。
Index
お問合せ
まずはお電話かメールにてお気軽にご相談ください
お電話でのお問合せ
03-5577-3203