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2025.04.18

2025.04.18

データ分析はビジネスに役立たない?因果推論で意思決定に確信を!

※この記事内容は

文字で構成されています。
データ分析はビジネスに役立たない?因果推論で意思決定に確信を!

数字を根拠に施策を立案して意思決定しているのにうまくいかない...
データ分析では、このような場面に遭遇します。だからデータ分析は無意味だと感じている人もいるでしょう。施策が失敗に終わるのは、データによる正しい因果推論ができていないからかもしれません。この記事では、データをさらに有効に活用するための因果推論をご紹介します。

因果推論とは?

「CMを放送したから商品の認知度が上がった」「クーポンを配布したから売上が増えた」といった原因と結果の関係を因果関係と呼びます。ビジネスで有効な施策を打つには、因果関係を理解することが必要不可欠です。

因果推論は、因果関係を科学的な根拠をもって見極めるための考え方です。例えば、キャンペーンを実施して来店客数が増えたとしても、因果推論ではキャンペーンを実施しなくても来店客数は増えたかもしれないと考えます。本当にキャンペーンによって来店客数が増えたと言えるのか、実験などを駆使して検証します。因果推論は「何が原因で、何が結果なのか」と問いを立て、データから真実を見抜くための探偵術といっても良いでしょう。

  • 因果関係:現象同士が原因と結果の関係にあること
  • 因果推論:ある現象が別の現象の原因といえるのか検証する方法

データ分析の落とし穴

データ分析では、相関関係がよく使われます。相関関係とは、データ同士がどのように関連しているか分析するものです。

例:気温とアイスクリームの関連性

気温とアイスクリームの関連性のイメージ図

この例では、気温が高いほどアイスクリームが売れる傾向にあります。そこで、都市別気温データを基準に猛暑になるエリアで販売強化策を行うなどの施策を打つのがマーケティングの基本です。

気温とアイスクリームの関係は因果関係にあると考えられますが、相関関係の分析では必ずしも因果関係を表すことができません。例えば、世界で発見されている相関関係では以下のものが有名ですが、因果関係といえるでしょうか?

■アメリカのメイン州ではマーガリンの消費量が多い年ほど離婚率が高い
→メイン州でマーガリンの販売を取りやめれば、離婚率は下がるのか?

■チョコレートを多く消費する国ではノーベル賞受賞者が多い
→日本でチョコレートの消費を推進すれば、ノーベル賞受賞者が増えるのか?

相関関係を根拠に意思決定を行うと、的外れな施策にコストと時間をかけることにつながりかねません。観測された相関関係が因果関係でもあることを検証することが必要です。

因果推論の代表的な方法

因果関係を明らかにする方法の1つとしてランダム化比較試験(RCT)があります。実験によって厳密に因果推論を行う方法で、ビジネスではA/Bテストで活用されています。

例えば、「Webサイトのデザイン変更でクリック数は増えたのか」という因果推論を行う場合を考えます。クリック数が増えたとしても、デザインは関係なく偶然かもしれません。デザインを変更した同時期にSNSで商品が紹介されて話題になったなど、クリック数が増える別の原因があった可能性も考えられます。

A/Bテストでは、因果推論を行いたい原因のみの影響を検証できるように実験を行います。Webサイトのデザインを2種類用意して、同時期に訪問者にランダムに提示し、どちらがクリック数でより良い成果をあげるか検証します。クリック数が変動する他の原因があったとしても、A/Bテストを行えばデザイン以外の背景にある条件は同等になるため、クリック数に違いがあればデザイン変更による施策の効果と見なすことができます。

A/Bテストのイメージ図

A/Bテストのイメージ図

ランダム化比較試験は、医学では古くから薬や治療法の効果検証として使われている因果推論の方法の1つで、非常に信頼性が高いです。単純な相関ではなく、因果推論を用いて緻密に分析することで、実証されたデータに基づいて大勢の健康に寄与しています。

最後に

現代では大量のデータが蓄積され、分析することが可能です。しかし、データ分析の結果がなぜ得られたのかは分からないという課題があり、因果関係の裏付けが求められるようになってきました。相関関係で意思決定を行って成果につながらないのは、運命の人だと思っていたら実際は気のせいだったというように、誤った思い込みによるものです。因果推論のニーズが高まっているのには、このような背景があります。

インソースデジタルアカデミーでは、因果推論を学ぶ研修をご用意しております。因果関係を明らかにする方法論を学び、施策の立案に活かすことができます。もう一歩踏み込んだ実践的なデータ分析を学びたい方におすすめですので、ぜひ当社までお気軽にお問合せください。

※本記事は2025年04月18日現在の情報です。

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