2024.04.16
2024.12.05
画像生成AIと作る、表紙デザイン
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
前回の記事では画像生成AIの特徴や著作権についてご紹介しました。
画像生成AIは実務で使えるのか~デザイナーがAIの実力を検証!
本記事では実際に画像生成AIを使って「雑誌の表紙デザイン」を進めていきます。
デザイン案が完成するまで、ChatGPTなどの様々なツールや機能を駆使しています。そのプロセスをぜひお楽しみください。
生成系AI「ChatGPT」によるアイデア出し
まずは雑誌のコンセプトに沿ってイメージを固めていきます。
表紙のメインモチーフを決めるにあたり、早速ChatGPTに相談を持ち掛けてみました。
結果は以下の通りです。
※画像はイメージです
かなり具体的な提案を得ることができました。
AIの意見を参考にしても、決定するのは人間です。
会話の中にあったシマウマの「広大なサバンナを駆ける力強さ」をヒントに、メインモチーフは馬にすることにしました。
画像生成AI「Adobe Firefly」でイラストを作る
次に、具体的にイラストを作ってみます。
使用するのはAdobe社の画像生成AIサービス「Adobe Firefly」です。
2023年10月10日に発表された「Adobe Firefly Image 2 Model」という次世代AIモデルを使ってイラスト生成を進めていきます。
アドビ、次世代のAdobe Fireflyモデルを発表
Adobe FireflyはAIの学習元データに同社で取り扱っているイラスト・写真素材やオープンライセンスのコンテンツを使用しており、著作権に関しても安心して使用できる点が特徴です。
また、ユーザーインターフェースが日本語に対応しているのも嬉しいポイント。
それでは、さっそく画像生成をはじめましょう!
後の文字入れ作業を加味し、極力背景はシンプルになるよう工夫します。
「真っ白い背景」と冒頭に入れ生成した結果です。
■プロンプト「真っ白い背景を駆ける馬」での生成例
写真のような画像が生成されてしまいましたが、抽象的なイメージにしたいので要素を足していきます。
デジタルをイメージさせるよう「ポリゴン」といった単語を組み込みます。
■プロンプト「真っ白い背景を駆けるポリゴンの馬」での生成例
かなりイメージに近づいてきました。
もう少し馬の顔立ちなどを曖昧にしていきたいので指示を追加します。
■プロンプト「真っ白い背景を駆ける抽象的なポリゴンの馬」での生成例
デザイナーのイメージに近い画像ができてきました。
この中から実際に使用するイラストを選定していきます。
何をもってイラストを選定するか
皆さんは画面の配置によって同じ登場人物でも相手に与える印象が変わることをご存じでしょうか。古典的な演劇にも見られる考え方ですが、左側は弱く、右側は強い印象を与えます。
横に進んでいくゲームなども敵を強く見せるため右から登場することが多いですね。
■画面の配置による印象
また、右から左に向かう視線や動きは「強い意志」や「未来」を、左から右に向かう動きは「不安」や「過去」を象徴します。
その他にも基準はありますが、今回は左に向かって駆けだしている馬の構図で、より躍動感のある下のイラストを採用することにしました。
「Adobe Photoshop」の生成AI機能で背景を作る
Adobe社が提供する画像処理ソフトウェアです。
豊富な機能と高度な編集ツールで写真やグラフィックデザインなどの作成が可能です。
生成したイラストですが、このままの状態では余白が少なく文字入れすることができません。
そこでAdobe Photoshopの生成AI機能を使い、背景を伸ばして行きます。
※生成AI機能の利用にはPhotoshop 2024(Ver.25.0)が必要です
-
切り抜きツールを選択する
ツールバーの切り抜きツールを選択し、画像の下に表示されているコンテキストタスクバーの「生成拡張」ボタンをクリックします。
-
生成したい範囲を決める
ハンドルをドラッグし、生成したい範囲を指定。
「生成」ボタンをクリックします。
-
背景の生成が完了
生成した背景にはバリエーションが用意されており、目的にあったものを選択できます。
文字入れ用の余白も確保できたので、いよいよ完成が近づいてきました。
最終的な仕上げは「自分自身」で
素材が整ったところで文字入れを行い、デザイン案が完成しました。
生成系AIだけで作業が完結できれば理想ですが、最終的な仕上げはやはりデザイナー自身で行う必要があります。
しかしながらアイデア出しから素材作りまで、かなりの時間短縮ができました。
今後は生成系AIをアシスタントデザイナーとして上手く組み込むことで、圧倒的な業務効率化が実現できます。
ここで重要なのはデザイナー自身が訴求する内容や目的をどの程度理解しているかです。
生成系AIは非常に便利な反面、出力内容には誤った情報も多く含まれる場合があります。
そこをどう軌道修正していくのかが、今後のAI活用の鍵となるでしょう。
※本記事は2024年12月05日現在の情報です。
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